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認知度*訴求力を把握しウェブマーケティングの方針を判断しよう

私が引き受ける案件というのはたいてい誰もが知っている企業というわけではなく、知る人ぞ知るとか、まだ認知度が高くない例です。取り扱う商品が全く認知されていないわけではなく、むしろ一定の需要が存在するものですが、その企業を選んでもらうにはもっと知ってもらわなければならないという事情があります。

一方で、まれに、すでに一定のファンがついているがそれを別のマーケットに展開したい、という相談もあります。

マーケティング戦略立案を引き受けるにあたり、その知名度と訴求力によって難易度や勝算は大きく変動してきます。今回はそのあたりの私なりの考え方を紹介します。

まず二つのベクトルに整理してみる

認知度
高い← →低い

訴求力
高い← →低い

認知度の高低を判断するには、市場のシェアやSNSのフォロワー数、検索結果における競合との比較などから判断します。もともとしっかり取り組まれているクライアントからはシェアについてある程度のデータを得られます。本来徹底してやるならばそれも含めて調査するものでしょうが、さすがに中小企業でそこまで具体的なデータを得ることは難しいことが多いでしょう。それを補ううえで、ウェブ上でのデータを集めてきます。固有名詞で検索されている回数が多いなどのデータが上がってくるとか、SNSフォロワーが競合より桁が多いなど、どのくらい認知されているかを推測することはできます。

訴求力は知名度と同じようにSNSフォロワー数も参考にしますが、より重要なのはその内容の熱量とか、SNSやウェブ広告の反響率、レビューサイトなどを見ます。訴求力についてクライアントから得られる情報としては、ユーザーアンケートの結果が参考になります。そのうえで、ファンの熱量や偏愛の濃さと購買力がプロダクトやサービスと釣り合っているかどうかを検討します。また、大事な点ですが、訴求力は同じような商品や競合の動向やそれらのファンも参考になります。

ここでもう一度さっきの二つの軸を思い出して、表にまとめてみましょう。

認知度高い認知度低い
訴求力高い少ない予算でリードできる可能性高い
スピード重視の戦術
(ただしライバルも多い)
積極的な認知度向上戦術をとる
ウェブ上の露出を増やす
長期的には地道な取り組みも行う
訴求力低い検索流入など予算を抑えた露出を図る
コンバージョン単価を抑える戦術を優先する
訴求力を高める方法を検討
リピート戦略も検討する
勝算が低いので別のアイデアを開発するか、あるいは引き受けないw

認知度・訴求力の両方が高い場合

そもそもこの場合はマーケティングがすでにうまくいっているような気もするので、ウェブ上でのプロモーションによってさらにその効果を拡大したい、というケースを想定します。やればやっただけ結果が出やすい状況にありますが、当然この領域にはライバルも多いため、「選んでもらえる理由」か、「圧倒的な販売力、リーチ力で勝ち切る」かのいずれかになると思います。

後者の場合は大手企業の戦略になりますので、中小零細企業向けの仕事をしている私の場合では、仮に担当する場合は前者の「選んでもらえる理由」で優位性をとりにいく方向になるでしょう。

この場合はまず積極策でスピード重視のウェブマーケティング手法を検討します。ユーザーのモチベーションが高い状況ならばこそ、競合からどれだけシェアを獲得できるかにかかっています。手数とリーチ数がものを言います。釣りに例えると入れ食い状態の人気ポイントに分け入って竿を出すようなイメージになります。エントリーはしやすいけどそれがいつまで続くかどうか。

認知度が低く訴求力が高い場合

この場合訴求力が高いというエビデンス調査に最も注意を払う必要があります。潜在的ニーズの発掘といわれるような部分です。 また、企業のイメージアップや最初のコンタクトの心理的・技術的ハードルを下げる必要もあります。まず知ってもらうことからスタートするため、グーグルなどのディスプレイ広告やYoutubeなどに予算を使い反応を見ながら比較的積極策で動いていきます。

ブログやウェブサイトをじっくり作りこんで検索流入やSNSからのコンバージョンに期待することもできますし、うまくやれば数か月で結果も出ると思われますが、ライバルに先行するためにもある程度は認知度向上のための広告予算は使いたいところです。釣りに例えると、あまりポピュラーではないターゲットの効果的な釣り方を知っているうえで自分だけの手つかずな釣り場を開拓するようなイメージです。その価値に気づかれると先行者利益が奪われ始めます。

認知度が高く訴求力が低い場合

自社の知名度が高いものの、すでに市場に十分出回っていて、競合も多いゾーンです。また購入に際してのモチベーションや緊急性もそれほど高くないものがここに入ります。ある程度事業を続けてきた企業の場合たいていのケースはここに入るでしょう。

広告などを活用しただけの成果は出ると思われますが、その予算消化の燃費改善やより訴求力を高めコンバージョン率を高める方法を検討します。ただし、訴求力を高めるための商品開発や販売方法の改善が必要です。

このパターンの問題点としては売る側のモチベーションが低くなりやすく、現状維持に走りがちな点にあります。いずれ先細りしますので、できるだけ訴求力を高める別の展開を試す必要があります。釣りに例えると、たくさんの人が訪れる有名な場所であるものの魚が少ないか餌を疑って食べようとしないようなシチュエーションです。場所を変えるか、やり方を工夫するか、あるいはあきらめてそれなりの結果で納得するかを迫られます。

認知度も訴求力も低い場合

非常に渋い領域です。ふつうはわざわざこの状況を選ばないと思いますw結果的にこのゾーンに入ってしまったというケースかあるいは、あまり考えずにこのゾーンに入っているケースになります。この状況が望ましくないことはすぐに理解できると思います。売れるということは、訴求力が高いことになるので、ここには入りません。つまり、このままでは知られていないし売れる見込みも薄いということです。

これをどうにか認知させたい、という話も分かりますが、訴求力が低いままの商品を認知させるためにコストを払うのも得策ではなく、まず改善や発想の転換などで訴求力を高める余地があるかどうかを検討します。売れないものの認知度だけをわざわざ高めても「結果が出なかったね」で終わってしまいます。つまり最初に取り組むべきはここのゾーンから離れる方法を考えるほどどっぷりと関わるか、そもそも取り組まないw

まじめに取り組もうとすると見直すべき点が多くなり、また経営判断や方針も含めて大ごとになりやすいのでよっぽどのことがなければ引き受けかねる状況です。無理にかかわっても徒労に終わりお互い不幸になりやすいため、自力救済か撤退を勧めます。釣りで例えると、誰も注目しない場所で魚の気配がない中漫然と糸を垂れているような状況です。

以前、最悪の状況を体験した私はそれを「水たまりでえさもハリもない状況で釣りをする」と表現しました。トップが必死に聖域なく立て直しをしていかないと絶対に沈没します。もうやらない。

上記のマトリクスでの立ち位置を理解した上で手を動かす

さて、あなたの考えるビジネスモデルや提供しているサービスは上記のどれに入るでしょうか。私はほかの分析手法と組み合わせながら、上記のような基準でウェブマーケティングの戦術を選択していきます。これを間違えると、予算の消化に終始し成果につながらないと考えています。また、ビジネスモデルの発展段階によって上記マトリクスにおける立ち位置も変わっていきます。それを見逃さないように時々振り返ることも大事ではないでしょうか。

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