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牛丼チェーンが時給1100円で外国人を雇う時代、先手を打てる企業になれるかどうか

人手不足を解決する方法を間違えると悲惨な結果が待っている。時代の変化に対応しよう

見てください、この数字。時給です。しかも、表記はベトナム語です。氷河期世代から無気力世代にあたる30~40歳くらいの人からしたら「なんで俺の若いころにこうならなかったんだ!」と怒りに震えるような時給ですね。アベノミクスがどう影響したかは私にはわかりませんが、少なくともすそ野のアルバイト賃金はここ5年くらいで大きく上昇しました。10年前、リーマンショック後の超円高時代で代わりはいくらでもいるんだぜと言われ、派遣切りとか、年越し派遣ムラとか、そういうことをやっていた時代は850円くらいだったと思います。田舎だと780円台とかそんな感じだったはず。事業を営んでいる方は、急速に進む人手不足の中で人材確保に頭を悩ませているかと思います。

人材不足になることはわかっていたはずじゃないのか

そもそも、人口ピラミッドのグラフを見れば、若い労働力が不足するということは15年以上前に予測できていたはずなんですよ。人が生まれて、育って、労働力になるまで18年くらいかかるわけですから、今から10年以内に労働力を出生率のアップで挽回しよう!なんてやっても物理的に間に合わない。

団塊ジュニア世代が出産適齢期の間がラストチャンスでしたが、氷河期で就職もできず、転職のラストチャンスもリーマンショックでとどめを刺され、もはや手遅れとなりました。それは彼らのせいではありません。氷河期世代の方を未経験から再スタートできるような社会構造に変えなきゃいかんと思いますけどそれに伴ういろいろの問題はどうやってケアしていこうかね、というマクロの話を掘り下げるのはまた別の機会にします。

今日は正社員の話ではなく、アルバイトという側面から考えてみます。

待遇の改善、環境の整備が基本中の基本。やりがいはそのあと

やりがいという言葉はあくまでも最低限の働く環境の上にある概念だということがこの20年ですっかり忘れ去られてしまったのです。その結果いわゆるブラック企業による過労死問題までつながっています。

なり手がいない業種について、「職業の魅力を発信しなければ」などと言っていますが、いわゆる「成功」までいかなくても、将来設計できるモデルが共有できるかどうかはとても重要で、その根幹はやはり働きやすさと待遇です。その辺の感覚がぶっ壊れてしまった後で魅力も何もないということは申し上げておきたいです。優秀な人が必要なら、なおさらです。衣食足りて礼節を知る、と同じです。

まず最低限のお金の心配、健康の心配をクリアできると思われなければどうにもなりません。すでに大手はどんどんバイトの時給を上げてきています。その流れに乗り遅れてしまったら人材確保に苦労するのは自明です。待遇で勝負できなければ、働く環境やその他条件で勝負するしかありません。

しかし、人材の集まるルートを開拓できれば、程よい条件で迎え入れれば安定的に人材確保できる可能性は十分あります。その流れを作るには今までと違う切り口での努力も必要ということです。

バイトをやってくれるのは今や留学生か高齢者。特に留学生を活用できるかどうかがカギ

冒頭に載せた画像ですが、もはや募集フライヤーも外国人対応が珍しくなくなりつつあります。郊外のコンビニや飲食店では高齢者が、都市部では留学生がアルバイトの受け皿になっています。

実際に、留学生はここ5年くらいでものすごい勢いで増えています。以前は留学生といえば、中国やオーストラリアあたりが多かった印象をお持ちだと思いますが、今は圧倒的にベトナム、ネパールからの留学生が増えています。

かくいう私も、週の半分くらいは留学生向けに専門学校でパソコンの検定対策実習を担当させていただいています。話せる範囲でも面白いネタはたくさんあるのですが、それもまた別の機会ということで、ここでグラフを見てみてください。

平成28年度外国人留学生在籍状況調査結果平成29年3月

御覧のように、ものすごい勢いで留学生の来日が加速しているのです。気が付いたらネパール人とベトナム人が繁華街を占拠していたりします。

留学生30万人計画

さらに、日本政府は2020年留学生30万人計画というものをぶちあげておりまして、今後も留学生を増やしていくのは既定路線です。いろいろと日本の社会構造の変革が遅いのでそのバッファのために留学生をうまいこと活用してやろうという裏の意図が見え隠れしますが、すでにその急速な留学生枠の拡大がいろいろなところで新たな課題を発生させています。その辺についても機会をみて私見を述べたいと思います。

さて、現状として、彼らが工場や物流、飲食などでかなりの人数が必要とされ、実際に働いているわけです。30万人計画もあって、今後ますますアジア全域からの留学生の流入が増えるといわれています。是非はともかく、移民の受け入れの可能性もありえます。そこでもまた人材の争奪戦が始まるだろうと私は予想しています。

現状でも留学生のモラルや実務能力、日本語力には大きなばらつきがあり、大手チェーンなどはいち早く評判のいい学生とその後輩たちの囲い込みをすることによって人材確保をしていると思われます。仕事を探すのに苦労する留学生は友達などの紹介で安心して働ける、というメリットと、当たりはずれのリスクを減らしたうえで安定して留学生を雇用できるという企業側のメリットがかみ合っているわけです。

留学生雇用にもいろいろ届出などのルールがあるよ

留学生をアルバイトで雇用するにしても、雇用開始と解雇のときそれぞれ、ハローワークに事業者がその事実を届出しなければなりません。留学生の就労が入国管理局に認められているかなどの要件があるのです。この辺は今まさに、副業で実務経験を積んでいるところなので、ひと段落したらその流れなども少し紹介したいと思います。

それでも、飲食、介護、土木、製造などでは留学生を雇用することに慣れるしかないかも

中小企業にとっては大きな問題です。どうやって彼らと良い信頼関係を持ち、習慣や文化の違う人たちと働く仕組みを動かしていくか。しかし、これからしばらくは、これらの労働集約型の業種で他社に先行して留学生雇用のノウハウを身に着け、よい留学生の受け皿に慣れたところと、そうでないところとではその後のトラブルのリスクや売り上げなどに大きな差が出ると思います。めちゃくちゃピンキリですから。ノウハウの蓄積と良い人材の確保のサイクルを立ち上げなければ人手不足と、雇用トラブルのリスクにまみれた未来がやってくるかもしれません。

今のところ私が思う安心できる留学生をバイトで採用する一番いい方法は、意外なところに転がっています。幸いにして私はそのサイクルを持っています。留学生にアルバイトを手伝ってほしいとお考えの方は、どうにかお力になれるかもしれません。

 

最後にもうひとつ、留学生ということは、政情や経済、法律の影響をもろに受けるということも押さえておきましょう。ずっといてくれるわけではないです。急に留学生が減る未来が来るかもしれません。2年でいなくなるアルバイトに依存したまま変に事業拡大してしまうのも考え物かもしれません。変化に対応しましょう。

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